電柱に衝突して大きく変形した車。
不安げな表情で保険会社に電話する運転者。
ヘッドセットをしたコールセンターの社員がテキパキと対応して、運転者は一安心。
そんなCMを見たことありませんか?
さて、この後はどうなるのでしょう?
保険会社に事故の連絡が入った後、事故状況の確認や修理代の打ち合わせをして保険金を支払うのが損害査定業務の仕事です。
この記事では、損害査定業務の仕事の内容や、この仕事に就く方法についてお伝えします。
損害保険会社の自動車保険損害査定業務とは
保険はカタチのない商品です。
契約したとき手元に残るのは保険証券だけ。
事故や災害が実際に起きて保険を請求することになったときに、はじめてその価値がわかります。
事故後、契約者に連絡をとって保険について説明したり、損害確認をして修理額を決定したり、事故の相手方と示談交渉をしたり、保険金の支払いに至るまでの対応をするのが損害査定業務です。
ですから、保険の商品価値は損害査定担当者の対応で決まるといっても過言ではないのです。
損害保険会社の自動車保険損害査定業務の仕事内容は
会社によって「損害査定」「損害サービス」「損害サポート」など、呼び方はいろいろですが、仕事内容は損害確認をして保険金を支払うことです。
最初に保険の契約者に連絡を取り、事故の詳細を聴き、保険内容の説明をするとともに、困りごとがないか相談にのります。
相手方がある件では、相手方にも連絡をして状況の確認をします。
その後修理工場に連絡を取って車の損害確認の手配をし、けが人がいる件では病院にも連絡をします。
事故の当事者双方に過失割合がある件では、相手損保と交渉をします。
当事者双方の言い分が大きく食い違う場合や、車の損傷と事故状況が合わない場合、不正請求と思われるような件では社外の調査機関への調査を検討し、難事案では弁護士と連携することもあります。
損害保険会社の自動車保険損害査定業務の1日の仕事の流れは
事故が起こると、まず事故受付専用のコールセンターで事故の内容を聞き取り、損害査定担当部署に事故受付票が配信されてきます。
朝はまず、前日の終業時間以降に事故受付センターで受付した案件の確認から始めます。
契約者や相手方に連絡して事故状況の確認や今後の流れについて説明します。
その後修理工場と車の損害確認の打ち合わせ、けが人がいる場合は病院と打ち合わせなど、関係各所に連絡を取ります。
その間にも別件の支払いの問い合わせが入ったり、他損保と過失割合の打ち合わせをしたり、新受けの件数が多い月曜や連休明けなどは、電話に追われて一日が過ぎていきます。
電話の合間には、示談書作成や支払い稟議などの事務仕事もこなさなくてはいけません。
損害保険会社の自動車保険損害査定担当者の給料や年収に関しては実際の担当者さんがこちらの記事で詳しくご紹介していますのでご確認下さい。
🔗損害保険会社の自動車保険損害査定業務はきつい?給料や年収、実際の口コミや評判とは!
損害保険会社の自動車保険損害査定業務の将来性について
初めて事故に遭った契約者は落ち込んでいたり、相手方と感情的なもつれがあったりして、不安を抱えていることが少なくありません。
そのような契約者に寄り添い、親身に話を聴き、安心してもらうためには、知識と経験を持ち、誠実な対応ができる人材が欠かせません。
少子高齢化等により自動車保険の契約件数は減少傾向にあり、今後自動運転の普及によって自動車保険は今とは違うものに変化する可能性はあります。
しかし、自動車保険そのものがなくなるとは考えられません。
また、事務手続きなどの業務にAIが活用されるようになるでしょうが、契約者への分かりやすい説明や相手方との粘り強い示談交渉など、損害査定業務の中で人間にしかできない部分がなくなることはありません。
より高い専門性とコミュニケーションスキルを備え、契約者が満足できるようなサービスを提供できる人材は、今後ますます重要になることでしょう。
損害保険会社の自動車保険損害査定業務に必要な資格や免許の難易度は
新卒でも中途採用でも、資格は特に必要ありません。
ただ、自動車に関わる仕事なので、運転免許は持っていたほうがよいでしょう。
また、示談交渉など賠償の話をするうえで土台となるのは法律なので、民法など法律の基礎知識があると仕事に役立ちます。
損害保険会社の自動車保険損害査定業務のやりがいについて
自動車保険の真価が問われるのは事故が起きた時。
損害査定業務の担当者は、事故を起こして困っている契約者の話に耳を傾け、親身に対応します。
契約者の話を聴き、事故状況・損害状況の確認をし、示談交渉し、保険金を支払う。
工程はシンプルですが、どの段階でも高い専門性が求められます。
毎年のように改定される保険約款を理解していなければ、保険の有無責を契約者に正しく伝えることはできません。
また損害状況など客観的事実から責任割合を判断する知識や、示談が難航しても粘り強く対話する交渉力が求められます。
常に知識のアップデートと経験を積むことが必要ですが、契約者から「保険に入っていてよかった」「あなたが担当でよかった」と言ってもらえると、困っている人の役に立つことができたと実感でき、やりがいを感じられる仕事です。
損害保険会社の自動車保険損害査定業務に向いている人向いていない人とは
損害査定の仕事は、契約者の話をじっくり聴いてその気持ちに寄り添い、相手方と粘り強く交渉して解決の道筋を見出すことです。
事故は当事者双方の利害が絡むことなので、時に感情をあらわにしたり、声を荒げたりする人もいます。
そのような場合も感情的にならず冷静に対応できる人や、罵倒されても一晩たてば忘れられる人はこの仕事に向いています。
保険金の支払いは、事故状況や車の損傷状況などから客観的に判断して算出します。
物事を筋道立てて考えて結論を導き出し、人にわかりやすく説明できる能力が必要です。
また、保険の約款はしばしば変わることがあるので、保険金を正しく支払うためには、常に知識のアップデートが必要です。
自主的に勉強して新しい知識を得たいという気持ちがない人は向いていないでしょう。
契約者、相手方への対応をしながら、一方で大量の案件をミスなく正確に支払いしなくてはいけません。
ストレスがかかる仕事ですので、ストレス耐性の低い人、ストレス発散が苦手な人はこの仕事に向かないでしょう。
損害保険会社の自動車保険損害査定担当者になるまでの道のりや方法は
大手損保は採用人数が多いので、新卒で入社するのが一般的ですが、中途採用をしている会社もあります。
ただ、中途採用の場合、経験不問の会社もありますが、応募条件が損害査定業務経験者となっている場合が多いようです。
また、損保事務という職種で派遣社員を募集している派遣会社があります。
私がいた職場では、家庭の事情で一旦損害査定の仕事を辞めてから、中途採用で入社し、即戦力で働いている人がたくさんいましたし、他業種から派遣社員となり、その後契約社員に登用された人もいました。
一般にはあまり知られていませんが、損害査定業務に欠かせない仕事にアジャスターという職種があります。
車の損傷確認、修理代の適正化等を担う専門職で、応募するには自動車整備士の資格が必要です。
損保の子会社である損害調査会社の所属になりますが、損保社員と机を並べて、仕事をしています。
短大や四大の機械科からの新卒入社や、自動車ディーラーのフロントマンから転職するケースが多いです。
自動車保険の価値は損害査定担当者の働きにかかっている
損害査定業務は事故が起こってから保険金を支払うまでの仕事です。
自動車保険の顧客満足度は損害査定担当者の対応しだいといえるほど、重要でやりがいのある仕事です。
応募するのに特に必要な資格はありませんが、中途採用では応募条件が損害査定経験者となっている場合があります。
契約者、相手方など事故関係者との交渉が多い仕事なので、コミュニケーション力がある人、人の気持ちに寄り添える人、ストレスに強い人が向いています。