あなたは、いわゆる「不動産屋さん」について、どういったイメージをお持ちでしょうか?
悪徳であまり良くないイメージなのか、営業ノルマがきついイメージなのか…
中には、あまり良くないイメージをお持ちでない方もいらっしゃるかも知れません。
実際にイメージ通りの会社もある事は事実でしょう。
私は、現在、事業用に特化した不動産の売買仲介業務(その前は、事業用の賃貸仲介業務をやっておりました)を行っております。
売買仲介と賃貸仲介で合わせて、14年間、この仕事に携わらせていただいております。
賃貸仲介で7年間くらい経験を積んだ後に、売買仲介を行うようになったという事です。
今回は、私が現在行っております業務について説明させて頂き、こういった業務内容の不動産会社もあるという事を知って頂き、就職する際の参考にして貰えると嬉しいです。
事業用不動産の売買仲介業務の仕事内容や1日の流れについて
一口に「不動産屋さん」と言っても、行っていることは様々で、その業務により仕事内容は全く異なる事になります。
不動産屋さんの業務内容には、大きく分けて一般的な住宅用不動産と事業用(投資用)不動産を取り扱う不動産の2種類があります。
わたくしどもの取扱う商品は、一棟もののオフィスビル、賃貸マンション、事業用の土地、その他収益物件全般になります。
そのような事業用不動産は、不動産の価格自体が高額になりますので、購入者のほとんどは、富裕層の投資家、若くは不動産会社自身であったりする場合がほとんどです。
彼らは、常に資産価値の大きい不動産を絶えず探している状況です。
そこで、私は、彼らにニーズにあった物件を探し出して、購入して頂く。
そしてその成功報酬として仲介手数料を頂く、それが事業用の不動産の売買仲介業務です。
住宅用の不動産については、あなたのにも身近な存在で、イメージもしやすいのではないでしょうか。
例えば、あなたが引っ越しでアパートを借りたい時に、不動産会社に行って物件を案内してもらい契約した経験もあるでしょう。
または、実際に中古の戸建て住宅を不動産会社に紹介してもらった経験がある方のいらしゃるのではないでしょうか。
一方、他人に貸すためにマンションや戸建て住宅を購入する場合は、家賃収入が目的ですので、それは投資用不動産という事になります。
大家業を行うという事です。
私の会社が取り扱う不動産は、投資用不動産の中でも比較的規模が大きい不動産が中心です。
価格帯的には、1億~30億円くらいの規模の不動産になります。
そういった所謂、事業用(投資用)不動産は、日常生活を行う上で、そこまで接する機会がなく、それを専門にしている不動産会社があるということは、知らない方もいるかもしれません。
実際の業務はどのような内容なの?
大まかな業務の流れを簡単に説明します。
1.まずは、紹介する不動産を仕入れる
仲介業務になりますので、まずは不動産を売却したと考えている方(売主)を探す必要があります。
売却物件の情報の取得については、売りたいと考えている不動産会社や投資家から情報を得る方法や、お付き合いのある仲介業者から情報を得る方法があります。
また、現金が必要で相続で取得した不動産の売却を考える方もおります。
2.条件に合いそうな購入者をさがす
売却物件が見つかれば、早速紹介して行きます。
会社で抱えている顧客にまずは紹介することになるでしょう。
売主からの許可が取れれば、自社のポータルサイト等に物件情報を登録して、買主を探す方法もあります。
それでも良い買主がどうしても見つからない場合は、普段から懇意にしている同業他社(仲介会社)に買主を探す事を依頼して、共同で仲介する場合もあります。
3.売主、買主の条件をすり合わせる(契約書作成)
購入者が見つかれば、売主と買主の希望条件のすり合わせを行います。
売主と買主の希望は必ず相反するものです。
少しでも高く売りたい売主と少しでも安く買いたい買主の間を上手く取りまとめるのが仲介者のもっとも大事な仕事であり、存在意義であります。
お互いの希望の条件のすり合わせが完了し、おおよその合意が取れたら、いよいよ売買契約書の作成にとりかかります。
お互いの希望条件や取り決めた事は、あとでもめない為にも、売買契約書に記載して行きます。
4.宅建業法に基づく重要事項の説明を行う
宅建業者(仲介業者)は、契約を締結する前に、買主に対して「重要事項の説明」をする必要があります。
この説明は、宅建の資格を持つ方しか説明出来ないことになっております。
説明内容は、法律や条例で定めらている事から、購入する不動産自体に関して買主に不利になる事項は全部説の対象です。
当然お互いに取り決めた契約書の内容についても再度説明します。
5.売買契約の締結、物件の引き渡し
売買契約書の内容が整い、重要事項の説明が完了したら、いよいよ売買契約を締結します。
お互いに契約書の捺印が終われば、買主が売買代金を支払います。
買主の方で売買代金の入金が確認できれば、売主から物件の引き渡しが行われます。
不動産の引き渡しは、司法書士に依頼して、所有権の移転の登記を行うことです。
事業用不動産の売買仲介業務に必要な資格や条件は
「働く上で必要な資格はあるの?」
不動産業に関わるなら、仲介の仕事をするにしても他の業務を行ううえ、必ずといって良いほど必要となるのは「宅建」の資格です。
宅建とは、「宅地建物取引士」の略称で、不動産の売買や賃貸物件の仲介をする際に、この資格がないとお客様に説明出来ないことになっております。
つまり、この資格を持ってないと、そもそも仕事が出来ないということです。
宅建という資格は、半年間くらい真面目に勉強すれば独学でも誰でも取れるレベルの資格試験ですが、勉強していなと間違いなく落ちる資格です。
もし今あなたが、現役の学生か就職活動中で働いてなく、将来不動産業に携わろうとお考えの方の場合は、仕事に就くする前に宅建の資格を取っておくのを強くおすすめします。
新しい環境で仕事をしながら、資格試験の勉強を行うのはそれはそれで大変なものだからです。
事業用不動産の売買仲介業務は正直きつい?
「どんな時に仕事がきついと感じるの?」
この仕事をやっていく中で、個人的にきついと感じた事はあまりないような気がします。
当然、日々の細々した事は沢山あったりしますが。
あえてきつい時のといえば「売上が上がらない」という事です。
事業用不動産の売買仲介をやっておりますと、売買契約を結んでも買主の銀行融資が降りずに契約自体が白紙撤回になったり。
せっかく購入者を見つけて来ても、他の購入者に取られてしまったり、さまざまな要因で「売上が上がらない時期」が必ずあります。
営業のお仕事ですので、数字というものは、いつもついて回ります。
営業マンの宿命といっても良いでしょう。
その売上が上がらないと精神的に本当に辛く、会社によっては、会社に居ずらく感じたり、上司や社長から詰められることもあります。
これは、不動産会社に限らず、営業会社はどこも似たような状況だとは思います。
売上がなかなか上がらない。
そんな時の特効薬は当然なく、結局は自分のやれる事から淡々とやるしかありません。
あまり細かい事を深く考えこまないで、営業を楽しむ位の気持ちで頑張りましょう。
事業用不動産の賃貸仲介業務に関してはこちらの記事で詳しくご紹介していますのでご覧ください。
🔗事業用不動産の賃貸仲介業務はきつい?必要な資格や給料や年収、実際の口コミや評判とは!
事業用不動産の売買仲介業務の給料や年収はいくら?
「給料や年収は良いの?」
給料や年収は会社によって全く異なりますが、一般的な傾向として、売上歩合が付く場合が多いです。(完全固定の会社もありますが)
ちなみに、私の勤めている会社ですと毎月の給料は固定ですが、売上に応じての歩合が年2回のボーナス時につきます。
ボーナスだけで8桁いく場合もありますし、数万円の時もあります。
ここは半年の営業成績がダイレクトに収入に反映される事になります。
事業用不動産の売買仲介業務に向いてる人向いていない人は
「どんな人が向いているの?」
取り扱う商品(物件)は高額になりますが、だからと行って特別な能力は必要ありません。
売主や買主の間を取り持つ仕事ですので、相手の言っている事を素直に聞く必要があります。
不動産の世界には、千三つ(せんみつ)とう言葉があります。
千に三つくらいしか話がまとまらないという意味です。
あまり一喜一憂しない性格の方が向いているかもしれません。
事業用不動産の売買仲介業務の実際の口コミや評判とは
事業用不動産の売買仲介において、「営業力」はあまり必要だと私は思いません。
そもそもいくら営業マンにおすすめされても10億円とかの物件は、購入が出来ないからです。
つまり、買いたい方(買える方)に求められている商品(不動産)を紹介するという事です。
営業力はあまり必要ではないかも知れませんが、その不動産が本当に良いの商品なのか?購入したあと買主が損をしてしまう可能性はないのか?
不動産に関する目利きが大切になってきますし、そのためには、知識や経験が必要になる仕事であると思います。
まとめ
事業不動産の売買仲介はとても高額な商品(不動産)を取り扱う仕事です。
例えば1棟のオフィスビルだと10億円以上に場合が多く、購入でいる方は限られております。
手数料は、売買金額の3%が上限ですので、1棟売れば最低でも3,000万円位の手数料が入ることになります。
それだけの話を自分一人でまとめる必要がありますので、その分調整能力や事務作業能力が必要になつてきます。
やりがいについては、あり過ぎる位あると言えます。
そして、契約できれば、インセンティブという形で給料にダイレクトに反映されます。
大手の不動産仲介会社であっても学歴重視の会社は少ないように感じます。
もし、あなたが仮に不動産業界に興味があり、自分の力を試したいと考えている方は、事業用不動産を取り扱っている会社をぜひ選んでいただきたいと思います。