医療事務は安定性があり、就職率も高く人気の職業の一つです。
専門知識を必要とし、病院勤めという特別感や、就職しやすい事務職ということで応募する方は大勢いらっしゃいます。
しかし、人気職なのに就職しやすい…というのは少々おかしいですよね?
本当に人気があるなら、倍率が高く就職は困難なはずです。
それもそのはず、実は医療事務は非常に離職率の高い職業としても有名なのです。
常に人手不足に陥るので、常に募集がかかり新陳代謝の多い職とも言えるでしょう。
この記事では、医療事務の辛い部分や離職率についてお話していきます。
医療事務は辛い?
まず、医療事務は辛いかどうか。
という疑問にお答えする前に「辛い」とは何か、という話をしなくてはいけません。
例えば「出勤するのが辛い」と言われたら医療事務は辛い仕事ですね。仕様上在宅ワークになることは難しい職です。
このように辛いの定義が様々なので、今回は一般的に仕事で起きる辛い事として「3K」「ノルマ」「クレーム対応」を基準にしてお話していきましょう。
3Kとは
「きつい」「汚い」「危険」の頭文字を取った言葉です。
事務は看護師と違い、患者さんに直接触れ合う機会はなく、介護などもしないためこの項目には当てはまりません。肉体労働も無く、立ち仕事でもないので身体面でのキツさは他の職業に比べて楽な方だと言えるでしょう。
ノルマ
営業職などによく話題になる1ヶ月あたりの業績の基準値です。
これを達成するために血眼になって業務に勤しみ、精神的に追い詰められていくケースは皆さん想像に容易いと思います。
さて、医療事務は病院の利益に直接影響がある仕事ではありません。
医療事務の方が患者さんを連れてくるわけでもなければ、医療機器の営業マンと交渉するわけでもないのでノルマというものは存在しません。
そのため精神的にも楽な方だと言えるでしょう。
クレーム対応
接客業で問題となるのはクレーム対応です。
自分の知らない事でまくし立てられたり、理不尽な要求を迫られる事もあります。医療事務は事務職と接客業を併せ持つ業務が多く、クレーム対応も仕事の1つとなります。
とはいっても、責任が事務員にすべて降りかかる事は稀ですし、そもそもクレーム自体起きにくい職場ではあります。
以上から、医療事務は他の職業に比べて比較的負担は少ない方の部類です。
アルバイトの方がやっていることも珍しくはなく、一般的に「辛い」と言われる職業ではないと思われます。
医療事務はすぐ辞める人が多い?
医療事務の仕事は比較的負担が少ないほうだということはお話しましたが、ではなぜ医療事務員は離職率が高いのか。
実際、医療事務の離職率は40%前後と言われており、2.3人に1人は辞めている計算になります。
離職率とは1年もしくは3年以内に退職した人の割合ですので、離職率40%はその職場に3年いればいい方、と言うことになりますね。
医療事務を退職する理由とは
続きまして、医療事務を退職する主な理由についてお話しましょう。
人間関係が悪い
医療事務同士だけでなく、医師や看護師とも話す機会の多いため、人間関係が上手く作れないと、業務に支障が出てしまいます。
特に医療事務は軽く見られる事が多く、医師や看護師から冷たく扱われて気に病まれる方も大勢いるのが実情です。
待遇が悪い
医療事務で一番不満が出るのがこのパターンです。どれだけ上手く立ち回っても、どれだけ効率よく業務をこなしても、医療事務員の給料が上がらない事が多いです。
少なくとも、一人暮らしで生計を立てるにはギリギリの収入となることでしょう。
資格手当の有無や、月々の残業代などを加味しても、他の職業より収入が劣るケースも有り、生活の安定を測って転職される方は非常に多いです。
上記の他にも、クレームや接客による精神的な疲労が積み重なって退職される方も多いようです。
しかしながら、業務内容というよりは職場環境に左右される面でもありますので、事前のリサーチや面接時の質問などでしっかりと将来の計画を立てて就職しましょう。
医療事務にはいじめがある?
医療事務にいじめはあるか?
これは職場に関する問題であり、職業柄いじめが起きやすいかと言われると一概には言えないですが…現実問題、いじめが起きやすい傾向があります。
病院勤めというものは責任も大きく、多忙であり事務員のみならず医師や看護師もストレスを抱える事が多いです。
そのため、下に見られがちな事務員が当たられる事も珍しくはありません。
そのような環境が悪化した場合、事務員同士でもギスギスした関係になることもあるでしょう。
医療事務のメリットはなに?
医療事務のメリットは安定した求人と就職率です。
給与は低いですが、環境にさえ満足できるなら長く続ける事が可能な職ですし、高齢になっても仕事につける事が多いため、アルバイト以上正社員未満くらいの立ち位置で働きたい方はオススメできるかと思います。
月末締め月初提出の都合上、残業を避けることは難しいですが、ある程度自分の裁量でコントロールできるので計画性を持って業務を進められるでしょう。
救急外来などでない限りは急な診療内容の変更も少ないので、イレギュラーな対応に迫られる可能性は低いことも利点の一つです。
また、肉体労働は清掃くらいで、業績のノルマなどもないのでそういった圧迫感から開放されたい方には良いかもしれません。
医療事務はやめとけ?
総合的に考えて、上記のメリットとデメリットを比較して、ご自身のライフプランに合わせた計画を立てることは必須となります。
もし貴方が男性であるなら、職場の男女比も考慮したほうがいいでしょう。
通院先に就職する場合は、客層も意識しておくと良いかと思います。
やめておいたほうがいい、とは言いませんが無計画に就職するものではありません。
募集要項をしっかりと確認し、後悔のない選択を行ってください。
医療事務の今後の行く末
現状、医療事務は立場が低く待遇も悪いのが問題として挙げられます。
今後の改善として待遇の改善や、専門性の強化、院内の風通しをよくするなどの改善が求められます。
病院の運営としても、離職率が高いのは本意ではないと思われます。
景気が回復し、病院の経営が順調に慣れば改善されていく面も大きいですが、病院はアイデアで一攫千金というわけにはいかないので、国の支援や政策に期待せざるをえない部分も多いです。
もしご自身で職場の環境改善を考えている場合は、投票する政治家にも意識を向けて国全体を変えていく気持ちを持つ必要があるかと思います。
よりよい職場になれますよう、陰ながら応援しております。