私が勤務していた4年制医療系の単科大学での事務職についてお話しさせていただきます。
医療系とひとことで言っても、様々な資格があると思いますが、要は「卒業したら資格を取ってその道で医療従事者になる」ための大学、と考えていただければと思います。
「そもそも大学の事務ってどんな仕事をしているの?」「大学の事務職って正規の職員?」「学生対応って大変?」など、皆さんの見えないところまで紹介していきます。
大学の事務職はどんな仕事?
大学によりますが、ひとくくりに事務職と言っても様々な部署に分かれています。
私が勤務していた単科の大学でも、「総務課」「学生課」「教務課」「システム管理課」と4つの部署に分かれていました。
総務課
企業総務と同じく職員の給与計算、経費処理をする経理担当、学生の学費納入の管理、などが主な仕事です。
あまり学生がくることのない部署です。
学生課
学生証の発行から、学校行事の受付進行管理、奨学金の窓口になります。
教務課
授業スケジュールと教室の割り振りから、定期テストの成績管理、追試者への連絡、実習先とのやりとり、学生の実習準備、などかなり多岐にわたります。
学生に接する部署の中では最も人数が多かったです。
システム管理課
学内のシステム管理責任者のポジションです。
なぜか学生に接する機会の多い「学生課」「教務課」にはあまりパソコンに明るい人が少なく、「教室のカギの管理ができるシステムが欲しい」とか「学生の成績管理ができて、いくつの単位を落としているのかがわかるシステムをマクロで組んでほしい」という学内の要請に動いてくれる部署です。
…でもそれは本来の仕事ではない気がします。
本来は学内の各教室のネットワーク環境の管理や、パソコンのメンテナンス管理が主な仕事なはず…です。
大学の事務職の1日の流れとは
特にテスト期間でも夏休み期間でもない間の、一日の流れは下記になります。
8:30 出勤
シフト制で早出の日もありました。
学生が投稿できる8時までに出勤し、門を開ける、駐輪場の片づけ、留守番電話の解除と内容の確認、学生用の給湯ポットの用意、各教室の鍵開けと空調管理をします。
9:00 授業開始
学生がメールで欠席や遅刻の連絡をしてくるので、それを担当講師に伝えます。
連絡なく欠席遅刻した学生への注意喚起も行います。
11:30以降 順番に昼休憩を取ります
17:00 授業終了
各教室を見回り、忘れ物の確認後、消灯・施錠をします。
18:00 閉門
これもシフトで、後半になるときの仕事です。
すべての門に施錠をして、各教室のカギ閉めと消灯確認、留守番電話をONにして帰ります。
大学の事務職はきつい?
正直とてもきつかったです。
基本的に残業は許可されません。
早く帰るよう促されます。
定時の1時間前に申請し、上長の許可を得ることができれば正式に(?)残業できます。
残業代も出ます。
でも、定時後にわからないことがあり上長に教えてもらおうとすると、「タイムカード通してからきて」と言われて衝撃を受けました。
基本、残業はご法度なのです。
なので、こっそり仕事を持ち出して自宅で仕事をする人もいました。(学生の個人情報が…)
残業をすることで電気代や残業代など、出費が増えるから、というのが理由のようでしたが、とても時間内で終われる業務量ではありませんでした。
そのために採用されたはずの私でしたが、私の採用が決まった時に退職願を出された方がおり、増員ではなく退職に伴う人員補充になってしまい、まったく意味のないことに…面接のときと条件が違いすぎる!と思いました。
大学の事務職の給料や年収に関してはこちらの記事で詳しくご紹介していますのでご覧ください。
大学の事務職はネイルや髪型、髪色や靴は自由?
学生の基準と同じです。
医療機関への就職を目指すので、髪色の明るさはここまで、ネイル不可、髪型も長ければ束ねる、服装もオフィスカジュアル、と決まっていました。
そして学生にも禁止しているので、と職員も「禁煙」を求められました。
勿論学外ではOKではなく、事実上の禁煙を強要されます。
私は喫煙者ではありませんが、これにはびっくりしました。
常に学生の模範であれ、ということだそうです。
大学の事務職を辞めたくなる理由とは
私が退職を決めた一番の理由は「サービス残業の強要」と「個人情報の持ち帰りが暗黙の了解」という点でした。
ほぼ全員がタイムカードを押してから残業をしていたこと、時間になったら上長自ら、「皆さんタイムカードを打刻してください!」と言われます。
帰っていいということではないんです。
このブラックにはびっくりしましたが、更にびっくりしたのがこのサービス残業が学長の指示ということです。
私は我慢できず、労働基準監督署に相談に行きました。
すると担当者から「あそこは毎年調査が入るんですけど改善しないんです。残業代の未払いでかなりの方が訴訟を起こしてますよ」と言われたのです。
無理‥
私正論をぶちかましてしまいそうと思い、精神科に通院を始めて1か月で「適応障害」の診断をいただき、休職の指示診断書をいただきました。
休職中にもかかわらず、「総務に来てください」とか「学長がお呼びです」とか連絡が入りましたが、「休職中なのでできません」とお断りしたところ、「来ないなら退職になりますけどいいですか?」といわれました。
もうかかわりたくない一心で、それでいいですとお返事をして辞めました。
大学の事務職はやめとけ?
短い就業期間でしたが、同じように思う方もおり、その方は大学の事務職は2校目とのことでした。
お話を聞くと「知名度の低い大学ほどブラック」とのことでした。
就職を決めた私でしたが「私が高校生だった時こんな大学あったっけ?」と思ったことは確かです。(実際なかったんです)
これが真実かどうかは確かめようがないのですが、私は面接時に「全員残業はほぼゼロです」と言われたことの意味を、入職後に理解しました。
「ご自身の母校」とか「友達が通っていた学校」であれば、情報を集めやすいかと思います。
ぜひ面接までに下調べをしっかりしてください。
大学の事務職に向いている人、向いていない人とは
向いている人
学校の方針に共感できる人、学生さんの成長のためなら自己犠牲もいとわない人なら、楽しく有意義にお仕事をできると思います。
独身の方ならよいかもしれません。(実際役職がつくくらい長い間勤務されている方は、独身の方ばかりでした)
向いていない人
ご自身の家庭があり、学生よりも大切にするものがある方には不向きといえます。
大学の事務職の離職率はどれくらい?
常に人手不足で、ようやく増員されたら、耐えらえなくなった人が辞めていく、病んでいくので離職率は高く常に人手不足です。
今でもずっと某求人サイトに募集が載っています。
ちなみに私と同期で入社した方は、学内ネットワークの管理部門の部長として採用されていましたが、いろいろと改善しようとしても「前例がない」「費用が掛かりすぎる」「残業するな」を散々総務から言われて、私より先に病んでしまい、長期休養されました。
1か月ごとに更新に学長面談が必要と言われてあきらめた私ですが、どうやらその方はちゃんと面談にも行き半年ほど休職された後、退職されたと聞きました。
4人の同期のうち、半年以内に半分の2人が退職しています。
これはかなりの離職率だと思います。
そしてここはいつも職員を募集しています。
大学の事務職の口コミ評判とは
過去に多くの方が残業代未払いで訴訟をされているのでかなりの酷評です。
かくいう私も、ここでかなりの酷評を書いていますが、訴訟するほど長く勤めなかったので未払い請求はしていません。
よほど献身的な人でないと務まらないかも
「学生のために働きたい」という人は、自分に教員免許があれば教師に戻っていく方もいらっしゃいましたし、大学の通信課程で教員免許を取得して退職した方もいらっしゃいました。
長く務めるには、相当の気力と体力、忍耐力が必要でした。
私の隣の席の方は、私と同じようにご家庭があり、中学生のお子さんがいらっしゃるママさんでしたが、ある日過労で倒れて入院されてしまいました。
びっくりしたのは、病院にまで「いつになったら退院できるのか、出勤できるのか」を問い合わせていたことです。
怖かったです。
他の大学がこんな状態であるとは思いたくないですね。