「不動産の仲介営業は、きつい?」「ブラックなの?」「給料ってどれくらい?」
今回の記事は、不動産の売買仲介営業について皆さんがとっても気になる現実的なところを余すことなく解説していきます!
私は不動産売買仲介営業に10年以上携わっており、今なお現役で営業の仕事をし続けています。
さらに管理職を兼任していますので採用面接官も毎年経験しています。
そんな生の経験を、偽りなく記事にし解説をしました。
是非最後までお読みください。
不動産の売買仲介営業はきつい?
結論、きついです。
不動産の仕事と思い浮かべると、誰もが必ず考えること。
それが「厳しい」「難しい」「大変」というイメージです。
それは決して間違っていません。
未経験者が足を踏み入れて、だれでも簡単に上手くいくことはありません。
その理由は以下の2つです。
①成果主義
不動産の売買仲介営業は成果主義です。
それは契約して受け取る報酬である、仲介手数料が成果報酬だからです。
売買契約が成立しなければ、報酬を受け取ることはできません。
例えば、10回の内覧で契約が成立しなければ報酬は0円。
1回の内覧で契約が成立すれば報酬が発生します。
行動やプロセスに対しての対価でなく、あくまで成果報酬なのです。
さらに不動産は高額商品ですので、1件の契約で多くの報酬を受け取ります。
この報酬は宅建業法で定められていますので、どの不動産会社も同様です。
契約が取れる人は優遇され、契約の取れない人は辞めていく業界です。
②幅広い知識が必要
不動産は唯一無二の商品です。
同じものはこの世の中に一つとしてありません。
たとえば新築分譲住宅で、まったく同じ建物が2棟並んでいても、土地の向き、道路の広さ、日当たり、その他法令規制などを考えるとまったく違う不動産なのです。
常に学び続けて自分の知識を付けていかなければ、この業界で仕事をしていくことはできません。
必要知識の一例
・建物(建物構造、素材、設備、劣化状況)
・土地(境界、道路、インフラ設備)
・法律(宅建業法、借地借家法、建築基準法、税法、都市計画法、民法など)
・関連業者(司法書士、税理士、土地家屋調査士、解体業)
不動産の売買仲介営業の給料や年収はどれくらい?
平均年収 458万円
ボーナス 131万円
平均年齢 39.5歳
厚生労働省算出の賃金構造基本統計から、平均年収は458万円、平均年齢は39.5歳でした。
日本の平均年収が400万円前後と言われる世の中ですから、比較的取扱高の高い不動産営業は、平均よりも年収が多くある傾向にあります。
しかし、思ったほど高くない!?と思われる方もいるかも知れません。
原因は以下の2つが考えられます。
・歩合を採用している会社が多いので、年収に差がある
・専門知識やスキルが求められるので新入社員の給与は平均並み
※平均数字等の集計は、賃金構造基本統計により算出された月の支給額を年収換算して算出しております。
不動産の売買仲介営業の給料アップの秘訣は
宅地建物取引士の資格を取得する
これが一番手っ取り早く収入を増やすことができます。
ほとんどの会社で宅地建物取引士の資格手当を支給しています。
さらに宅地建物取引士の資格を持っていると、不動産の取引をすべて一人で完結することもできるので、お客様からの信頼もアップします。
会社によりますが、資格を持っているだけで月1~2万円くらいは給与に差が出ます。
この業界で仕事をするなら早めに資格取得をしましょう。
不動産の売買仲介営業の将来性について
新築から中古へシフトしさらに取引増加
日本の不動産はこれまで、新築住宅の取引に支えられてきました。
それは人口が増え、景気が上がっていたからです。それが現在では、人口減少、景気悪化。
そこにさらに追い打ちをかけたのが人々のライフスタイルの変化です。
一昔前は新品を購入するのは当然と言う文化が、今ではほとんどの人がスマホで簡単に中古品を売買できる時代になりました。
住宅においてもそのライフスタイルの変化は見られており、古いマンションを買って室内を全て作り直すリノベーションも一般的に行われるようになりました。
この流れは欧米諸国では既に当たり前となっており、不動産流通市場全体における80%以上は中古売買の取引きがされています。
それが日本ではまだ14.5%と言う状態です。
現在国としても、この中古取引の低さに問題提起がされておりますので今後中古取引はさらに増加するとみられます。
このような不動産市場の変化は、中古取引を主に扱う不動産売買仲介営業にとっては追い風で、将来にわたってさらなる需要が見込める業界です。
不動産の仲介営業になるにはこちらの記事で実際の営業マンが解説していますのでご覧ください。
🔗不動産の売買仲介営業になるには!必要な資格や難易度、仕事内容とは!
不動産の売買仲介営業の口コミや評判について
良い口コミや評判情報★★★★★
・スケジュールが拘束されないから自由
ほとんどの営業は、1日のスケジュールは自分で決定できるので自由度が高い仕事です。
お客様の予約以外は拘束がないので、自分のペースでコンビニ休憩も取れるので気楽。
・スキルが身につくので転職しやすい
不動産取引知識は覚えることも多いですが、身につけてしまえば他の会社でも十分に使えます。
経験者は非常に重宝されますので、スキルが無駄になることがありません。
・お客様から直接的に非常に感謝される
これは新人営業が1件目の契約をする時にも感じられます。
お客様は家という人生で一度の大きな買い物をする時に、担当の営業には信頼をおいて相談をします。
無事すべてが終了したときには、両手で握手を求められたり、直筆の手紙で感謝を伝えられたりと、お客様から直接感謝を感じられるので、やりがいが持てます。
悪い口コミや評判情報★
・不動産会社は信用できない、詐欺師だ
不動産と聞くと反射的に拒否反応を起こす方もいます。
それはバブル時代の不動産会社の酷い対応がひとつの原因です。
バブル時代、土地の価格は右肩上がりに上昇しました。
しかし今のようにネットが無いので、不動産会社とお客様の間に情報格差が生じていました。
そのため、嘘や騙していてもバレないという構造ができあがり、100万円で買った土地を何もせずに10倍の1000万円で売るということも当たり前に起きていました。
確かにこれは詐欺と言われても仕方ないですね。
・ノルマ、パワハラ、サービス残業 ブラックの三拍子
労働環境が改善されつつある業界ですが、まだまだブラックな会社が多くあります。
毎月のノルマがキツく、上司に怒られる。
時間外労働をしても給与はなし。
不動産業界全体が高額商品を取り扱うからそのくらい当たり前という風潮が根底にあり、まだまだこういった問題が実際にあります。
不動産の売買仲介営業はブラックが多い?
結論:ブラック企業が多くあった業界であるが、大幅に改善されています。
過去の不動産業界は非常にブラック企業が多くありました。
サービス残業は当たり前、契約を取るためには24時が過ぎても働くなど…
それが昨今の働き方改革により不動産業界も大きく改善されつつあります。
もちろん各企業で取り組みの差はありますが、勤務時間や待遇など10年前に考えられないほど、働きやすくなっています。
10年前と今のとある不動産会社の実例
・17時間労働 → 8時間労働
・月休5日、有給休暇取得不可 → 月休8日、有給休暇取得可
・休憩なし → 休憩室完備、1時間休憩
・経費精算なし → 事前支払いによる精算
これは本当にあった実例です。
ここでお伝えしたいのは、10年前はこのようなことが当たり前のように行われていました。
その後、企業がどのように労働改善に取り組んだのかにより現状が変わってきます。
不動産会社を選ぶときは、必ず現状の実態がどうなっているのか確認しましょう。
不動産の売買仲介営業を辞めたい時の対策や乗り越える方法とは
不動産の売買仲介営業をしていると、辛いこと、上手くいかないことが多くあり、辞めたいと思うこともあるかも知れません。
そんな時はどうしたらいいのか?
①先輩や上司に「過去一番失敗した経験談」を教えてもらう
どんな業種でも一般的ですが、不動産の売買仲介営業については特に重要となります。
それは、先輩上司も必ず営業が上手くいかなかったり、失敗をしているからです。
それも大概は自分が考えている失敗よりも、はるかに大きな失敗だったりします。
そんな失敗経験談を聞いたら、まだまだ自分はできるという気持ちになるはずです。
②契約したお客様を思い出す
不動産の売買にはお客様ごとの物語が必ずあります。
例えば、初対面のときは、無口だったお客様がご案内を重ねるにつれて心を開き、家族の話をたくさん話してくれるようになりました。
営業はその家族の思いに答えられるように、多くの提案をしご案内を続けました。
そして無事に理想のマイホームを手に入れたあとに、その家での食事会に招待され、感謝手紙を頂きました。
営業の仕事は、実はほとんどが上手くいきません。
トップ営業でも契約率は30%です。
ということは失敗や辛いことの方が、遥かに多いのです。
その失敗や辛いことに目を向けるのではなく、あなたの行動により喜び、幸せになったお客様がいるはずです。
そのお客様を思い出せば、自然と辛いことも乗り越えられます。
不動産の売買仲介営業への転職で失敗しない会社の選び方やポイント
①常に業務改善に取り組んでいる
不動産業界はとにかくアナログ、古い業界です。
未だに紙やFAXというものを当たり前のように使用している業界です。
そんな古い価値観の業界にもIT化が進んでいます。
取り入れている会社とそうでない会社の差は歴然です。
その会社の今後の発展にも関わりますので必ずチェックしましょう。
質問例
「ペーパーレス化についてどのような取り組みをしていますか?」
「社内の情報共有はどのようなことをしていますか?」
「リモートワークについての対応はございますか?」
②マニュアルや手順書がある
どの業界でも大切なものはマニュアルや手順書。
不動産の売買仲介営業については、全く無いという会社もまだ多いともいます。
そもそも営業という仕事が、「背中を見て覚えろ」というスタンスが多く、言語化されていないのです。
しかし、マニュアルや手順書が整っていない会社だと、急な退職や休みのときに変わりに対応することができません。
ということは、あなたが急に休みたいときにも休みが取れない可能性が高いのです。
③会社の営業スタイル
不動産営業といっても、ガツガツ連絡をする会社もあれば、基本的に連絡はお客様からの反響営業など…営業スタイルはそれぞれです。
ガツガツ営業をして歩合を稼ぐのか、安定的にお客様からの反響があって対応するのかは、会社により千差万別で異なります。
不動産の売買仲介営業の志望動機の書き方や面接のポイントとは
【志望動機は会社ごと使いかける】
①ガツガツ営業、体育会系は「体力とやる気」
歩合率が高く、若いうちでも年収が稼げるなどの収入アピールで募集しています。
大手上場企業も多くあります。
過去にブラック企業だった場合が多いので、会社の考え方は体育会系が残っていたりします。
②お客様最善主義の反響営業は「誠実さ」
地元の中小企業が多いです。
年収よりも働きやすアピールで募集しています。
このような会社は、一般的な真面目な人を募集している場合が多いです。
【面接のポイントは「第一印象と会話力」 】
①第一印象
やはり営業として採用しますので、見た目等の第一印象は非常に重要です。
靴紐が解けている、髪がボサボサ、服がヨレヨレでは、正直その後どのような会話をしても採用は難しいです。
②会話力
お客様とのやり取りが多い営業職では会話力が採用基準に入ります。
言葉のキャッチボールが的確にできるのか、相手の目を見て話せるのか、分からないときにどのように対応するのかなど…
面接官である相手は営業経験者が多いはずですから、言葉のひとつひとつを聞いて判断しています。
まとめ
さて今回は、不動産の売買仲介営業についての、きつい所や給与、辛いときや会社選びまで、現場の生の情報を踏まえて紹介してきました。
「自分にはできない」そう思った方もいるのではないのでしょうか?
正直、私も「自分にはできない」と思っていました。
今でさえこの仕事を10年務めて、それなりの知識もつき、管理職まで任されていますが、いたって普通の人間です。
いや、むしろ普通以下です。
この記事を最後まで読まれている皆さんは真剣にこの業界、職種について調べている方だと思います。
本記事では、キツイことも多く書きましたが、ここまで読まれている皆さんは、きっとこの業界に興味を抱いている方だと思います。
諦めず探せば必ず、あなたにあった不動産の売買仲介営業の仕事があります!!
私がそうだったように…
この記事が不動産の売買仲介営業に携わる方の第一歩となれば幸いです。