看護師として働く選択肢として大学病院を考える方もいると思います。
特に職場環境や人間関係、お給料についてなど、求人を見るだけでは内部事情ややりがいはわからないしことはたくさんありますよね。
これまで2か所の大学病院で働いた経験がある私が、実際勤めてから「こんなはずじゃなかった」と思わないために、大学病院について皆さんの疑問にお答えします。
この記事が看護師として大学病院で働くことを考える人たちにとって参考になれば幸いです。
大学病院の看護師の仕事内容や1日の流れについて
大学病院でも他の病院と基本的な業務は変わりません。
規模の大きい病院では毎日多くの入退院があるのでとにかく1日が慌ただしく過ぎていき、気付けば就業時間になっていることの繰り返しだと思います。
大学病院は病棟だけではないので自分のいる病棟が合わずに環境を変えたいと思った時、希望で異動をすることも可能です。
新人で配属することはあまりないと思いますが、外来勤務だと夜勤はありませんし、領域によって必要とされる知識や技術は異なります。
また、大学病院は研究機関の役割もあります。
院内研修や看護研究も積極的に行っているところが多いです。
現在、働き方改革で研修などは業務時間内に行うように調整している病院も増えています。
しかし、時間内研修があっても短時間であれば通常業務の負担が変わらないケースもあり、役職、委員会などを担っていればそれらの業務もあります。
とにかく人手不足といわれる看護師ですが、看護助手などの人員が多い職場では看護業務に専念できますが、私が勤めていた病棟では、人身不足のため受け持ちをせず一日助手業務を行う勤務が組まれていることもありました。
大学病院の看護師に必要な資格や条件は
募集要項として必要な資格は看護師だけで特別な資格は必要ありません。
病院によっては面接のときに小論文を書くところもあるので、事前に募集要項をしっかり確認しておく必要があります。
大学病院の看護師は正直きつい?
部署にもよっては正直きついです。
基本的に入退院が激しいため業務が忙しく、新人や転職したばかりの時期は業務を覚えることが精一杯となり慣れるまでは大変だと思います。
とはいえ、新人教育や院内研修など年単位でプログラムが組まれ、一人ひとりに教育担当者がつき長期間指導してもらえる体制が整っている職場も多いです。
すでに看護師経験のある既卒者に対しては新人ほど手厚いサポートがない職場もあるので、転職した際は上司と相談する必要があります。
様々な領域を扱っている大学病院では新たな領域に興味をもった時や今の部署が合わないなと感じた時でも、異動という形で環境を変えることができるので、そのようにして働きやすい領域を探してみるのも解決策の一つです。
大学病院の看護師の給料や年収はいくら?
比較的年収が良いといわれる大学病院ですが、大卒か専門卒か、都市部か地方か、病棟か救急かなど、条件や勤務地でも大きく違ってきます。
給料は他の病院と比べても基本給での大きな差はなく夜勤手当、役職手当などをよく見てみるといいと思います。
住宅手当の有無でも給料は変わってきますね。
年収に大きく関わるのは賞与です。
中には5か月分近い所もあります。
賞与については求人に記載している病院も多いので是非確認しておきたいポイントです。
大学病院の看護師に向いている人向いていない人は
大学病院は忙しくてもバリバリ働きたいキャリア思考の人に向いています。
新人や新たな領域に飛び込む不安をサポートしてもらいながら頑張りたい人にもいいと思います。
忙しくても残業が多くてもお給料がいいからと割り切って考えることができる人も長続きできると思います。
逆に急性期など忙しい環境が苦手な人にはつらく感じてしまうかもしれません。
上司との相談や、部署異動で環境を変えることで働きやすくなることができればいいですね。
よく言われる「人間関係」については、正直働いてみないとわかりません。
忙しくても雰囲気のいい職場もあれば、周りの人にとっては苦手な人でも自分には相性が良かったりすることもあります。
大学病院の看護師の実際の口コミや評判とは
大学病院の特徴として、新卒者の入職の多くが系列の大学の卒業生であり、病院内には顔なじみの先輩たちもいるため、入職時には既に縦と横の関係性が構築されているパターンもあります。
しかし、系列校ではないからと人間関係に不安になる必要はありません。
各部署に配属され、業務が始まれば自然と同期や先輩たちとの関係性も作られていきます。
私も苦しい1年目をともに過ごした同期とは転職した現在も関係が続いています。
新人も入らず異動もない病院は良くも悪くも部署のカラーが強くなっていきますが、毎年多くの新人が入職し、異動があるような大学病院では、毎年新しい風が吹くことで勤続年数が増えても職場の雰囲気が変わり刺激になります。
看護師はまだまだ女性の割合が多いため、結婚や出産のタイミングで自分の働き方を見直す人が多いですが、産休育休制度や託児所なの福利厚生が手厚く産後も職場復帰する人もいます。
プライベートについては、お給料や賞与が良い病院だと、買い物や旅行で日々のストレスを発散している人もいれば、貯金をして奨学金を数年で一括返済してしまったという人もいました。
大学病院の看護師のやりがいについて
大学病院で看護師として働いた経験がある私が、大学病院でのやりがいを「環境」「将来性」「待遇」の3つのポイントからお伝えします。
1つめのポイントは「環境」です。
一般病院との違いとして、大学病院には治療の他に「研究」「教育」という役割があります。
研究機関でもある大学病院では専門性が高く最新の設備や治療方法を行っているため病棟として細かく領域が分かれ、珍しい病気もつ患者さんの治療をすることもあります。
そのため高い専門性が求められ、膨大な業務を覚えながら勉強も同時進行していく必要があります。
また、教育機関として新人研修や院内研修など教育環境が整っているため、新人の不安解消や、新たな知識や技術を学ぶ機会が多いことも特徴です。
最初はとても大変ですが、知識や技術が身についてくることでやりがいを感じることができます。
2つめのポイントは「将来性」です。
看護師経験を重ねていくと、自分の看護観(どういう看護をしていきたいか)を考える機会が増えていきます。
もっと専門性のある知識や技術を学びたい、違う環境にチャレンジしてみたいと考えた時、大学病院という環境はあなたがチャレンジしたいと思ったときの一歩が踏み出しやすいといえます。
看護師の「将来性」については次項で細かくお伝えしたいと思います。
3つめのポイントは「待遇」です。
全国にはさまざまな病院があり待遇について一概にどちらが良い、悪いはありません。
就職先を決めるときはそれぞれの病院についてしっかり調べて比べてみてください。
地域によっては給料や賞与が一般病院よりも高かい病院、職員寮や託児所がある病院、特別休暇があるような病院もあります。
職業として看護師を選択したのであれば、給料や福利厚生にも着目することで日々の仕事のモチベーションにも繋がります。
3つのポイントを紹介しましたが、忙しい環境で高度な知識や技術が求められることは大学病院の特徴ではありますが、その分サポートも充実している病院も多くやりがいのある職場だと思います。
自分がどのような看護師になりたいのか考えていくうえで、大学病院で働くことを選択肢のひとつにしてみてください。
大学病院の看護師の将来性について
病院という組織のなかで経験を積んでいくとライフスタイルが変わることや、こういう看護をしてみたいという「看護観」が育つことで今後のキャリアについて考えるタイミングがあると思います。
ここでは、大学病院で経験を積んだ後のキャリアについてお伝えしたいと思います。
方向性としては「異動・進学」、「看護師としての転職」、「看護師以外の転職」があります。
「異動・進学」では、大学病院には同じ病院内でも様々な病棟や領域があり、かつ関連施設があればさらに仕事の幅は広がります。
環境を変えたいときは部署異動や関連病院へ異動することで、退職することなく環境を変えることができます。
大学院に行き専門の資格を取得したいときは、働きながらでも大学院に通えるような制度や、業務が終わったあとにそのまま院内で大学の授業を受けることができるなどサポート体制が充実した病院もあります。
もちろん部署異動や進学支援がある一般病院もありますが、教育機関でもある大学病院はより手厚いサポートが受けられることが特徴です。
続いて「看護師としての転職」とは、大学病院を退職した後も看護師として他の病院や施設、企業で働くことです。
看護師不足は看護業界全体の課題でもあり、全国に看護師の需要はあります。
最後に「看護師以外の転職」です。
看護師の資格を持っているからといって看護師として生涯働かなければいけないことはありません。
そして看護師の経験がゼロになることや、活かされないこともありません。
看護師以外の仕事についた後、再び看護師として働くこともできます。
今後のライフスタイルやキャリアを考えたとき、自身の環境を変えることは不安で勇気がいることです。
しかし、大学病院という環境は退職をしなくても異動や進学など選択肢があることは知っておいて損はありません。
もちろん一般病院でも職場環境が整った病院も多くあるため、ぜひ視野を広げて様々な情報を集めながら今後のキャリアを考えてみてください。
大学病院で働いてみませんか
大学病院は向上心がある人はとことん応援してもらえる環境が整っている魅力的な職場です。
もちろん職場環境が充実した病院はたくさんあるので、ぜひいろんな病院を調べて、見学して雰囲気を味わって自分に合った職場を見つけてほしいと思います。