皆さんは子供の頃、「大人になったらスポーツ選手になる!」こんなことを夢見たことはないでしょうか?
男の子ならサッカー選手や野球選手が人気のスポーツです。
スポーツ選手になることになればお金持ちにもなれるし、かっこいい誰もが一度は憧れるものです。
そして世の中には意外と知られていないマイナースポーツが多いものです。
そこで今回は「競輪選手」に焦点を当てて、どうやったらプロになれるのか?
などのポイントを元競輪選手がご紹介します。
これがクリアできればあなたも競輪選手デビューです。
競輪選手になるには
競輪選手になるためには、競輪学校を受験して入学する必要があります。
入試は第一試験が実技のみ第二試験が実技と面接となっています。
さらに一般受験とは別に「特別選別試験枠」があり、世界大会やオリンピックに出場した人など、自転車以外の競技で輝かしい戦績を残した人は、身体検査と人物考査のみで受験が可能となっています。
その際に2つの壁があります。
1つ目は競輪用の自転車「ピスト」に乗りなれる必要があるということ。
2つ目が競輪場(通称:バンク)に乗りなれる必要があるのです。
競輪の自転車は前後にブレーキが無いですし、ギアが固定式のため足を止めることはできません。
こういう特殊な自転車に乗って高速で走ることを求められるので、ピストに乗りなれる環境に身を置くことが必要となります。
そして競輪場での走行技術が必須となります。これはバンクと言われる傾斜のついた競技場を走ることに慣れることが大切です。
でもどうやって競輪場を走れるの?と考えるあなたに回答です。
答えは「競輪選手に弟子入りする」ということです。
知り合いに競輪選手や自転車関係者がいないのであれば地元の競輪場に足を運ぶとか、競輪選手が経営しているジムに通ってみるとかして、少しでも選手との接点を増やす努力をしましょう。
弟子入りは必須ではありませんが、直接に選手からアドバイスがもらえるのはかなり貴重な経験なので弟子入りするに越したことはありません。
因みに筆者は高校から自転車競技を始めて、スポーツ推薦で大学進学後、ピスト競技で全国大会を優勝したのちにストレートで競輪選手となりました。
そして選手になってから弟子入りをしました。
こんな感じで「昔から自転車競技はやっていましたよ!」という方は弟子入りをそんなに重視する必要はありません。
重要なのは実技試験で合格するための技術と力なのです。
競輪学校に入るには?
具体的に試験内容は実技1kmタイムトライアルと200mハロンの計測タイムと面接の対策が必要です。
面接に関しては「今まで自分が頑張ってきた事」「学校での授業、部活動のこと」そして「どんな競輪選手になりたいか」などが質問されます。
特に難しい内容で質問をされることはありませんので、相手に失礼がなければそこまで問題視されません。
実技のタイムトライアルですが、合格基準のタイムは明らかにされていませんが、受験した上位何名と決まっていますので、受験者の中でも上位でタイムを出すことが条件となってきます。
参考までに私は一次試験、二時試験のタイムは以下の通りです(1kmTT1分7秒、200mTT11秒2)でした。
おそらくこのタイムは受験当時では上位3名に入るタイムですのでかなり早い方でした。
しかし時代が進むにつれて選手のレベルも上がってきていますので、現在ではもっと早いタイムの選手もいるのが現状です。
いくら練習で良いタイムで走れたとしても本番で結果を出さなければいけないので、常にベストな状態で走れるようにコンディショニングを整える技術も必要となってきます。
競輪選手になるには 年齢制限
現在は選手になるための年齢制限はありません。
しかし最低元必要条件として高校卒業が条件となってきます。
そして競輪学校入学時に17歳以上であること。
この二つが条件です。
この年齢制限がないことから、より多くの人が競輪に挑戦できる環境が作られています。
実は意外に多いのは他のスポーツ競技からの転校してくる選手です。
有名な選手だと元プロ野球選手や元Jリーガーやスピードスケート選手やオリンピック選手などです。
私の同期にも元プロ野球選手で戦力外通告を受け野球を引退せざるを得ない状態になりましたが、スポーツを続けたいという思いから競輪選手を目指していた人もいます。
何かしらのプロスポーツをしていたレベルの高い人材が多く集まるのも年齢制限がない競輪の魅力でもあります。
競輪選手になるには 身長制限
競輪には相撲のように身長制限はありませんし、競馬のジョッキーのように体重制限もありません。
そういう意味では体格に恵まれている人にとっては嬉しい条件ですよね。
でも競輪は自転車を自分の力で漕いで進みますし、相手選手とぶつかったりする競技です。
いわば自転車の格闘技です。
そのため選手それぞれに得意な戦術がありますので一概に体が大きいからといって有利なわけでもありません。
事実、体の小さな選手でも周りを圧倒するような強さの選手もいます。
大切なのは体格ではなく、自分の体格に合った戦術を習得できるか?というところにあるのです。
私は選手時代の体格は身長178cm体重が85kgでした。
この体格で中距離が得意な選手でしたので戦術は徹底先行に徹していました。
常に誰よりも先頭を走りそのままゴールを目指すという、一番体力と筋力が必要とする戦術を好んでいました。
競輪選手になるには 女子の場合
女子競輪に関しても選手になるための条件は男子と変わりません。
男子と同じように競輪学校を受験して卒業して晴れてプロとしてデビューすることができます。
ただ一つ違うことといえば、自転車が男子のように鉄製のピストではなく、オリンピックなどの自転車競技で使われるカーボン製の自転車を使って競走をします。
これは見た目の華やかさもありますが、鉄製よりもカーボンの方が軽量で剛性があるのでスピードの出やすい自転車として作られています。
女子はどうしても男子と比べて体格が劣るため、自転車で男子と差別化することでスピードや見た目を補うことができます。
競輪選手になるには 費用
競輪選手になるための必須道具として・ピスト自転車・ヘルメット・シューズ・手袋・練習着・サングラスがあります。
この中でも一番お金がかかってくるのが自転車です。
ピスト自転車は日本各地にあるピスト自転車のビルダーに注文をして手作りで作られます。
その為、納期も費用もかなりかかります。
ピスト自転車の価格にも幅がありますがおおよそ10万〜30万円です。
しかしこれは自転車のフレームとフォークの部分だけの価格ですので、このままでは乗れません。
ハンドル、ステム、サドル、シートポスト、車輪、クランク、ペダルと自転車として乗れる状態まで完成させると最低でも25万〜は初期費用としてかかってきます。
しかももし練習中に落車してしまいフレームが壊れたり、凹んでしまうとレースには使用できなくなるので買い替える必要が出てきます。
そのため選手は自分のピスト自転車を複数台持っているのです。
でもこれから試験を受けようとしている方に何十万円もする自転車を購入するのには敷居が高すぎます。
その場合に有効な手段があります。
それは知り合いの競輪選手から自分の体格に近い選手の自転車を貰うか、安い価格で譲ってもらうという方法です。
これは近辺に競輪選手がいるということが条件になってきますが、確実な方法です。
自転車以外の必要品に関しても使ってないものがあれば安く譲ってもらえる可能性がありますので相談してみましょう。
競輪選手に向いている人向いていない人は
競輪に限った話ではありませんが、スポーツというのは日々の練習が大切になってきます。
これを苦と感じて続けられない人はプロとして続けることは厳しいです。
特に競輪選手は月に2〜3回の開催がありますが、開催以外の期間は自分の好きなことに使える時間と云うことになります。
つまり自分で時間管理ができない人は競輪選手としては向いていないと言えます。
競輪選手になれば自分は自営業者という自覚を持ち、本番のレースで良い成績を出すために、毎日をどう過ごせば良いのか?どうすれば強くなれるのか?これを追求し続けることが大切となってきます。
反対に競輪選手に向いている人は、上記の内容を愚直にこなせる人です。
時間管理からトレーニング管理、そして強くなるための研究心これを心得ていれば、競輪選手として強くなれる素質は十分あると言えます。
もちろんプロの世界ですから周りの選手はもっと練習しているし、もっと研究しています。
だからそういう人達に負けないくらい強くなってやる!という強い気持ちも大切です。
競輪選手になる前の心構えと準備
ここまで競輪選手になるために必要な条件を書いてきましたが、最後のまとめとして大切なことを一つお伝えします。
それは「結果に一喜一憂しないこと」です。
これから競輪選手を目指す方は恐らく今まで自転車競技に携わっていなかった方が多いのではないでしょうか?
そういう方はなかなか思うように走れなかったりタイムが出なかったりと、悔しい思いをすることが沢山あると思います。
でもその時に「これだけ練習しているのに何故タイムが上がらないんだ…」と嘆くのではなく、「今回はダメだけど次は必ずタイムを上げるぞ!」と向上心を維持することが大切なのです。
競輪選手はプロスポーツの世界です。
そもそもプロとはレベルが高い世界で、生き残るのも厳しい世界です。
そんな世界に足を踏み入れるということは相応の覚悟が必要です。
ここで自分は全力を出し切るぞ!必ず強くなってやる!こういう想いを切らさずに持ち続けている人が最後は結果を出すのです。
ぜひこの記事を読んでくださった皆さんも「何が何でも強くなってやる」という気持ちを胸に練習に取り組んでください。
その努力があれば周りの人たち選手が応援してくれますし、その想いは必ず結果として出ます。
私は7年という短い競輪選手人生ではありましたが、必死で練習をしてきました。
その結果S級でも走っていました。
大勢の歓声の中で力一杯走るのは本当に気持ちが良いですし、カッコいいです。
この記事が皆さんの競輪選手人生のきっかけとなることを願い締めさせていただきます。