地方公務員に興味はあるけれど、「どんな仕事がある?」「試験対策はどうすればいい?」「地方公務員のなり方は?」という疑問はありませんか?
役所のホームページは、難しくてわかりにくいこともありますよね。
今回は、実際に市役所で働いた経験をもとに、これらの疑問についてわかりやすく解説します。
地方公務員のことを詳しく知りたい、という場合は参考にしてみてください。
地方公務員とは
地方公務員とは、県や市町村で働く公務員のことです。
行政職(事務)だけでなく、技術職(建築・土木など)や、警察官、消防官も地方公務員です。
民間企業とは違い、利益が出るかどうかに関係なく、地域に必要な仕事を担当します。
国家公務員と比べて仕事のスケールは小さめですが、その分、地域住民の生活によりそった仕事ができるのが特徴です。
一言で地方公務員といっても、県庁と村役場では環境は大きく変わります。
規模の大きい自治体ほど全体をまとめるような仕事が多くなり、逆に小さい自治体ほど、地域に密着した仕事が多くなります。
地方公務員の仕事内容とは
地方公務員は、驚くほどたくさんの仕事があります。
ありとあらゆる企業を合体させたくらいの幅広さです。
たとえば私が所属していた市役所では、財政・福祉・観光・環境・上下水道・教育・交通・防災などの色々な部局の中に部署が枝分かれし、さらにその中に【課・係】など細かく分かれていました。
同じ行政職でも、窓口業務、外出が多い仕事、直接住民と関わらない経理や書類づくりの仕事など、本当にたくさんの種類があります。
地方公務員は数年ごとに異動がありますが、異動によってまるで別の会社に転職でもしたかと思うくらい環境が変わることも珍しくありません。
私自身、最初に配属されたのは内勤で書類仕事が多いところでしたが、異動したあとの職場では一気に外出が増えました。
技術職員と協力する仕事もあり、普段まったく関わりのない理系分野に接することで、新鮮な気持ちで仕事ができました。
幅広い分野の仕事に挑戦できるのは、地方公務員の魅力だと思います。
地方公務員の仕事のメリットデメリットについて
地方公務員の仕事のメリット
・社会的信頼度が高い
・安定した給料
・育児休業や時短勤務に理解がある
「公務員」という名がつくだけで、年収・年齢に関係なく、社会的信用力は抜群です。
クレジットカードや賃貸物件の審査、車や家の購入時など、あらゆる場面で公務員の強さが発揮されます。
年収が急増することはありませんが、逆に大きく下がることもないため、安定しています。
また、育児休業を取りやすい職場が多く、男性が取得するケースもあります。
育児による時短勤務経験者が多いため、周囲の理解を得やすいことも魅力のひとつです。
地方公務員の仕事のデメリット
・ビジネス感覚・ビジネススキルが身につきにくい
・仕事の自由度が低い
・個人の能力が評価されにくい
競争性が低い職業なので、ビジネス感覚は身につきづらいです。
また、地方公務員は数年単位で異動があります。
特に行政職の場合、同じ仕事を長く続けることが難しいため、一つのスキルを極めにくい環境です。
法律・条例・規則の中で働くため、仕事の自由度は低めです。
一部を除き副業も禁止されています。
良くも悪くも年功序列なので、高い能力を持つ若手職員より、やる気のないベテラン職員の方が高い給料をもらっている、というケースもあります。
個人の能力が評価に結びつきづらい点は、デメリットと言えるでしょう。
地方公務員の試験内容や試験対策とは
地方公務員の試験内容は、自治体や受験区分によって異なります。
よくあるのは、一次試験が筆記・二次試験が面接というパターンです。
このパターンでは、筆記試験をクリアしなければ次の面接試験に進めないので、まずは筆記試験に合格する必要があります。
試験問題は、民間の就職活動で使われるSPIに似たものから、経済や法律などの専門分野までさまざまで、受験区分によって出題分野を選べる自治体もあります。
技術職では、その技術内容(たとえば建築など)に関する問題も出題されることが多いです。
学力試験のほかに論文試験がある自治体もあります。
筆記試験対策には、過去問をこなすことが一番おすすめです。
書店に過去問題集が売っているので、まずは自分が受けたい自治体の過去問をチェックしてみましょう。
算数や数学に近い問題が多く出題されがちなので、苦手意識があると、独学では難しいと感じることがあるかもしれません。
私は、ろくに学力がない上に、数字が大の苦手だったため、予備校に通って勉強しました。
公務員対策講座が開かれている大学などもあります。
予備校でも通信教育は通学よりリーズナブルなので、予算や学力、時間に合わせた勉強法を見つけましょう。
面接試験に必要な対策は、民間企業の面接対策と大きな違いはありません。
私の経験では、民間企業の面接と比べて、無難な質問をされることが多かったです。
志望動機をしっかり練り、受験する自治体について事前に研究しておくと安心です。
面接の練習をして慣れておきたいときは、模擬面接を受けるとよいです。
こちらも学校や予備校、ハローワークなどで対策できます。
地方公務員になるにはどうする?
地方公務員になるためには、希望する自治体の採用試験に合格する必要があります。
受験料は無料で、試験日程がかぶらなければ、複数の自治体を受験できます。
看護師・保健師・保育士など資格や免許が必要な職種もありますが、行政職(事務職)については、資格や免許は必要ないケースがほとんどです。
学歴を問わない自治体もあります。
行政職には、地方上級・中級・初級という区分があり、上級は大卒程度、中級は短大卒程度、初級は高卒程度、とされていますが、実際の学歴は問わず、年齢制限のみの自治体もたくさんあります。
受験資格は自治体によって異なります。
気になる自治体の募集要項をチェックしておくことをおすすめします。
地方公務員の給料や年収についてはこちらの記事で詳しく説明していますのでご覧ください。
🔗地方公務員の給料や年収とは!志望動機の書き方や面接でされる質問はなに?
地方公務員に向いている人、向いていない人とは
県や市町村のために働く地方公務員には、責任感や誠実さが求められます。
期限内に正確な仕事ができる人が向いていると言えるでしょう。
また、知らないことに対して興味・関心を持って取り組める人は向いていると思います。
異動のたびに、まったく経験のない仕事を任されることが珍しくないからです。
必要な施策を行うために、予算を確保することも大事な仕事のひとつです。
そのため、数字に強く、論理的な説明ができる人は活躍できます。
近年は役所でもどんどん新しいシステムが導入されているため、IT機器に強い人材も重宝されます。
一方、コミュニケーション能力が低い人は、地方公務員には向かないと言えるでしょう。
住民と接する仕事では、コミュニケーション能力は必須です。
異動を繰り返すため、役所の内部でもたくさんの職員と関わることになります。
人と接する機会の多い地方公務員の仕事は、コミュニケーション能力が低い人にとっては、苦労を感じる場面が多そうです。
地方公務員のストレスや辞めたい理由とは
仕事柄、どうしても住民からお叱りの声を受けやすいです。
たとえ非がなくても、一方的に責められることがあるのでストレスの原因になりがちです。
残業が多く、身体や心の調子を崩してしまうこともあります。
公務員というと定時退庁のイメージがあるかもしれませんが、中にはブラック企業顔負けの残業時間を誇る職場もあります。
実際、私は残業の多い部署で働いた経験しかありません。
真夏でも経費削減のため、定時を過ぎれば容赦なく冷房が切れます。
汗だくになりながらの残業は、心が折れそうになりました。
また、一生懸命働いても、若いうちは給料が低いことがほとんどです。
一方、やる気のないベテラン職員が高い給料をもらっていることもあります。
「実力主義で評価してほしい」と考える人にとっては、ストレスを感じやすい環境だと思います。
まとめ
地方公務員は大変なこともありますが、やりがいのある仕事です。
特に行政職は、受験資格のハードルが低い自治体もたくさんあります。
「地域に根ざした仕事をしたい」という場合は、新卒者はもちろん、既卒者や転職希望者にもぜひ挑戦してみてほしいです。