近年は在宅医療が活発になってきました。
耳鼻科も訪問診療を行う機会が徐々にですが増えてきています。
耳鼻科というとクリニックで子供のころに耳や鼻を触られて嫌な思いをした記憶のある方や、花粉症で行くだけという方が多いと思うのですが、病院に行くことが出来ない方の助けになるべくこんな風に在宅で耳鼻科診療をやっているんだよというのをお話しします。
ちょっと困ったりするような事もお伝えできたらと思います。
訪問診療の耳鼻科医の仕事内容とは
患者さん、ご家族、あるいは主治医の要望に応じて訪問診療を行います。
ここでいう主治医というのは在宅医療にならざるを得なかった元の病気の管理や、ご高齢で外出が難しい方の病気や健康の管理を行う医師を指し、これを耳鼻科医自身がやることはあまり多くありません。
一番多い依頼は、耳垢の除去です。
これはわかる人にはわかると思うのですが、生まれつき耳垢が柔らかい方や耳の形で耳垢がよく詰まってしまう方というのは一定数いらっしゃり、皆さん耳鼻科にお越しになります。
でも、病院へ行けなくなったからといってその問題もなくなるわけではないんですね。
むしろ家でテレビや家族と会話するためにより聞こえというのは大切になりますから、耳が詰まってしまって困っている方というのは常に一定数存在しているのが現状です。
訪問診療の耳鼻科医はそれを解決を依頼されることが圧倒的に多いです。
専用の機材をスタッフの人とたくさん担いでお家にお伺いし、いろいろな器具を使って耳掃除を行います。
その他には鼻水でお困りの方や、気管カニューレ(病気で息をする穴を首に手術で開けている人が装着しているくだ)の管理の相談をうけたりします。
訪問診療の耳鼻科医の1日の流れとは
9:00 まずは事務所に出勤します。スタッフや機材などがあり、一日の流れを聞いて相談。
9:30 事務所を車で出発、予定に沿って患者さんのお宅をまわります。
大体よほどご近所でない限り移動に10~20分を計算、初めて耳鼻科診療にお伺いするお家はどのような状況で何を要するかわからないので少し滞在時間をゆとりをもって見積もり、定期的にお伺いしているお家は大体所要時間も想定がつくので、それを計算しつつスタッフさんが立ててくれたスケジュールをこなします。3件くらいの訪問診療。
12:00 事務所に帰還、カルテを記載。
12:30-13:30 お昼休憩。この間にスタッフさんが午前使った物品を滅菌にかけてくれたりします。
13:45 事務所出発、午前同様にお宅を回ります。
4件まとめていくこともあれば、時間が空く場合は2件いって一旦事務所に戻ってからまた出直すこともあります。場合によってはお昼の滅菌した物品を途中で必要になるために戻ることもあります。
16:30 事務所に帰還、カルテ記載。
17:00 退勤。
訪問診療の耳鼻科医のメリットデメリットは
日によって、患者さんの都合で予定がキャンセルになると突然昼休みが3時間になったりします。
その時は少しうれしいですが、結局事務所でスマホをいじる時間が長くなるくらいになります。
あと、いろいろなお家でペットのワンちゃんのお話を聞いたり、家に置いてある家族写真を見せてもらったりするのは楽しいです。
デメリットは、車移動が多く車酔いになることです。
時々30分ほど車移動の時がありついスマホをみてしまったりすると、その後一日ちょっと辛いときがあります。
訪問診療の耳鼻科医はきつい?
車酔いしない人はきつくないと思います。
逆に車酔いする人はやめた方がいいと思います。
耳の診察はかなり繊細で耳垢を取るときはかなり集中力と目を使うので気分が悪いときには誤って傷つけたりして患者さんへ害を及ぼしてしまうかもしれないからです。
耳鼻科医になるにはこちらの記事で詳しくご紹介していますのでご覧ください。
訪問診療をしていて困ったことはある?
とても家が汚れていたり、においがするお宅にお伺いすること、虫がたくさんいるお家に行ったときはとても辛いので患者さん以外は絶対に目を向けないように神経を集中します。
また、基本的には訪問診療の日に着用したズボンはその日のうちに洗うように心がけています。
今まででびっくりしたのは、静かに耳垢を取っていたら突然押し入れから飼い猫が騒ぎながら飛び出してきて、ぶつかられそうになり、危うく患者さんに影響するところでした。
訪問診療の耳鼻科医のリアルな口コミや評判とは
訪問診療で耳鼻科も手がける医療機関は増えてきていると思いますが、ある程度耳鼻科診療を理解しているかどうかは少し確認した方がいいです。
処置のコストなど取りすぎている病院があるとも聞いたことがあります。
様子がわかる知人を介しての就職が一番とは思いますが、勤務先を探す際はスタッフの理解度も注意している方がよいかもしれません。
訪問診療の耳鼻科医になることを検討しているなら
決してきつくはないし、家に行くのは楽しいです。
でもやはりコミュニケーションが普段の外来診療よりも重要になってくるのでそこが苦手な方は無理しない方がよいと思います。
耳垢をとるとかなり聞こえの自覚が変わる方もいるのでその場で患者さんに感謝してもらえるととても嬉しい経験になるので、耳鼻科医で興味がある方は思い切ってやってみると臨床の視野が広がると思いますよ!